妊娠中に胎盤が剥がれる?常位胎盤早期剥離の原因の40%は喫煙?
カテゴリ:怖い妊娠の合併症
記事の種類:妊娠特有の病気
常位胎盤早期剥離とは
常位胎盤早期剥離は妊娠20週以降で、妊娠中や分娩中(胎児の娩出前)に胎盤が剥がれてしまう症状です。
早剥と省略して呼ばれることもあります。
胎児死亡や母体の出血性ショックなど、重篤な症状を引き起こす可能性のある疾患です。
常位胎盤早期剥離の発症率は全分娩の0.5~1.3%、重症例は全分娩の約0.1%です。
原因
常位胎盤早期剥離はなぜ起こる?
喫煙や薬物乱用、羊水過多症、絨毛膜羊膜炎によっても引き起こされますが、典型的なリスク因子としては、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)による合併症として発症する確率が高く、常位胎盤早期剥離発症者の約半数が妊娠高血圧症候群を合併しています。
また、前期破水の原因にもなる急激な子宮収縮も要因となります。
主なリスク因子
- 喫煙
- 薬物乱用
- 羊水過多症
- 絨毛膜羊膜炎
- 妊娠高血圧症候群
- 急激な子宮収縮
喫煙との関係
妊娠中の喫煙は、切迫早産や常位胎盤早期剥離を起こしやすくすることが分かっており、常位胎盤早期剥離の約40%が喫煙に関係しているという報告もあります。
妊娠高血圧症候群との関係
常位胎盤早期剥離の根本原因は判明しておらず、妊娠高血圧症候群がどのように関連しているかは分かっていませんが、関連が高い事は統計から分かっています。
症状
初期の段階では無症状ですが、進行していくと下腹部痛や性器出血などの切迫流産に似た症状が現れます。
更に進行すると、大量出血や出血性ショック、産科DICに至る可能性もあります。
産科DICは血液の過凝固と二次線溶が繰り返され、多臓器不全に至る、母子共に生命の危険のある極めて重篤な症状です。
起こり得る合併症
代表的なものとして、以下の疾患の発症リスクがあります。
- 胎児死亡
- 出血性ショック
- 産科DIC
予防方法
根本的な原因は判明していませんが、できる予防方法としては、リスク因子として確認されている喫煙や薬物乱用を避ける事が挙げられます。
また、妊娠高血圧症候群に対する予防も重要になり、高血圧症や糖尿病、肥満対策を踏まえた生活習慣の改善も大切になります。
公開日時:2017年06月13日 16:13:14
最終更新日時:2022年03月05日 19:14:48