経腟超音波検査とは?実施方法や結果から分かること
カテゴリ:超音波検査
記事の種類:妊婦健診の検査項目
経腟超音波検査の意味
経腟超音波検査は、妊娠初期(妊娠15週まで)に胎嚢や胎芽心拍動の確認、胎児頭殿長の測定、多胎妊娠を確認するために実施します。
妊娠後期以降(妊娠16週以降)は経腹超音波検査を実施します。
検査方法
経腟プローブを腟内に挿入し、超音波を発信し、返ってくる信号(エコー)を画像化して子宮内の様子や胎児の様子を観察します。
滅菌処理された天然ゴム製の経腟プローブカバーをプローブに被せた上でゼリーを塗って腟に挿入するため、妊婦への感染症の恐れや痛みはありせん。
※使い終わった経腟プローブカバーは毎回廃棄されます。(再利用禁止となっています)
検査で確認できること
経腟超音波検査では主に以下について確認します。
- 胎嚢の有無
- 胎芽心拍動
- 妊娠週数
- 胎児頭殿長(CRL)
- 頂部透明帯(NT)(頭部の低エコー域の長さ)
- 多胎妊娠
妊娠週数
正確な妊娠週数は妊娠9~11週の頭殿長(CRL)を基に算出します。
平均頭殿長は妊娠9週0日では20mm、妊娠10週0日では28mm、妊娠11週0日では38mmです。
妊娠10週以降では児頭大横径(BPD)も測定します。
頂部透明帯(NT)
NTは児頭頂部から背部にかけての浮腫状透明帯(胎児のうなじにある透明部分)の長さ(mm)を指し、妊娠11~13週末の測定が推奨されています。
正常な胎児では成長に伴ってNTは増加しますが、頭殿長(CRL)に対するNTの長さで正常か異常かを判定します。
なおNTの測定には専門知識と技能が求められ、審査に合格した者にはNT資格が与えられます。
多胎妊娠
妊娠5~6週頃には胎胞(GS)が確認できるようになります。
胎胞が2個あれば2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎)、胎胞が1つで心拍が2つ確認できる場合は、両方の児の間に羊膜がなければ1絨毛膜1羊膜双胎(MM双胎)、羊膜があれば1絨毛膜2羊膜双胎(MD双胎)となります。
但し妊娠8週以前では、羊膜が見えにくく、MD双胎がMM双胎と誤って診断される場合があります。
妊娠10~12週頃からは羊膜の癒合が始まり両児間の隔壁が薄くなり、MD双胎とMM双胎を正確に鑑別できるようになります。
検査で分かる異常
母体
母体側の疾患として以下が発見される場合があります。
- 子宮筋腫
- 子宮肉腫
- 卵巣腫瘍
- 卵巣嚢腫
- 黄体嚢胞
- チョコレート嚢胞
- 多嚢胞性卵巣症候群
そのため、確定診断には腫瘍マーカー検査やMRI検査などの他の検査も必要になります。
なお、妊娠初期に黄体嚢胞が見られる場合がありますが、妊娠16週頃には縮小するためチョコレート嚢胞との鑑別が行えます。
胎児
通常は、妊娠5~6週(血中hCGが1000~2000IU/Lに達する頃)には子宮内に嚢胞が認められます。
もし妊娠5~6週に子宮内に嚢胞が認められない場合、以下が疑われます。
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)
- 流産
- 胞状奇胎
- 胎児形態異常
- 無脳症
- 全前脳胞症
- 頂部透明帯(NT)が認められる場合
- 染色体異常
- 心奇形
公開日時:2017年10月21日 16:38:51
最終更新日時:2022年02月28日 22:26:15