体重の正常値(基準値)とは?妊婦の体重増加はいつ頃から始まる?

カテゴリ:身体計測

記事の種類:妊婦健診の検査項目

体重測定の意味

身長と体重から算出したBMIを用いて、肥満妊婦や、やせ妊婦の評価(妊娠初期では24以上、妊娠中期では26以上、妊娠後期では28以上の場合に肥満)を行い、BMI別に体重増加量が正常範囲か否かが診断されます。
体重の増加量は問診で答えた非妊時の体重から、妊娠期の体重の増加量を計算します。
日本の場合、20~30歳台では比較的、肥満の妊婦よりもやせの妊婦が多く、40歳台になると肥満の方が多くなる傾向があります。

肥満妊婦

肥満妊婦の場合、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、死産などのリスクが高くなります。
特に分娩時に帝王切開となった場合、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの母体の生命に関わる重篤な疾患のリスクがあります。

また、非妊時から肥満の場合、高血圧や糖尿病、喘息を合併している頻度が高く、妊娠前から肥満である場合と、妊娠してから肥満になった場合とでは、リスクが異なってきます。

やせ妊婦

やせ妊婦では切迫早産や低出生体重児のリスクが高まります。
特に、妊娠中の体重増加量が7kg未満の場合、低出生体重児のリスクが非常に高く、また周産期死亡率も高くなります。
低出生体重児は、1日の摂取栄養が1500kcalを下回る場合にリスクが高まると言われています。

身長測定の意味

身長は BMIを求めるためだけではなく、児頭骨盤不均衡(CPD)の可能性の判断にも用いられます。
低身長(一般的に145cm以下)の場合、児頭骨盤不均衡となるリスクが高いため、多くの場合、帝王切開による分娩となります。
※低身長の母体の場合に必ずしもCPDになるとは限りませんが、母体の身長と骨盤の大きさは比例することが分かっています。

児頭骨盤不均衡(CPD)

児頭骨盤不均衡は赤ちゃんの頭(児頭)と母親の胎盤の大きさが合わない状態です。
言い換えると、骨盤に対して児が大きい場合に児頭骨盤不均衡になる可能性があります。
一般的に難産のリスクが高く帝王切開での分娩となります。

検査方法

一般的にはデジタル身長体重計が用いられ、身長と体重を同時に測ります。

正常値(基準値)

BMIがふつうの場合7~12kgの範囲の体重増加が正常です。

BMI別の妊娠全期間を通しての至適体重増加量

BMI評価体重増加量
18.5未満やせ9~12kg
18.5以上25.0未満ふつう7~12kg
25.0以上肥満個別対応

BMI別の妊娠中期から末期における1週間あたりの至適体重

BMI評価体重増加量
18.5未満やせ0.3~0.5kg
18.5以上25.0未満ふつう0.3~0.5kg
25.0以上肥満個別対応

参考妊娠全期間を通しての至適体重増加量の計算は妊娠期の適正体重増加量計算機をご利用ください。

原因

体重増加の原因

妊娠期の体重増加の原因は主に胎児因子(胎児、胎盤、羊水)、乳房、子宮の増大、循環血漿量、細胞外液の増加、母体の脂肪増加が挙げられます。
体重の増加度が大きい時期は、妊娠12週頃~妊娠中期頃です。

体重減少の原因

妊娠初期の場合は、主な原因として重症妊娠悪阻が考えられますが、甲状腺機能亢進症や消化器疾患の場合もあり鑑別が必要です。
体重の減少が5%以上など激しい場合や、飲水も困難な場合は、入院が必要になる可能性があります。

治療法

BMIが25を少し超える程度の場合は、5~7kgの体重増加に抑えるように食事療法や栄養管理を行います。
BMIがそれ以上の場合、高血圧や糖尿病を合併している可能性があるため個別対応となります。

異常値の場合にリスクのある疾患

肥満妊婦

肥満妊娠の場合は、主に以下のリスクがあります。

過剰体重増加のリスク

  • 巨大児
  • 肩甲難産
  • 前期破水
  • 妊娠高血圧症候群

非妊時から肥満の場合のリスク

  • 妊娠高血圧症候群
  • 妊娠糖尿病
  • 巨大児
  • 子宮内胎児死亡

分娩時のリスク

  • 分娩遷延
  • 微弱陣痛
  • 帝王切開
  • 大量出血
  • 深部静脈血栓症
  • 肺塞栓症
  • 子宮内感染
  • 創部感染
  • 尿路感染

やせ妊婦

やせ妊娠の場合は、主に以下のリスクがあります。

  • 低出生体重児
  • 子宮内胎児発育不全
  • 切迫早産
  • 早産
  • 貧血

公開日時:2017年08月05日 21:47:19
最終更新日時:2022年02月28日 22:29:28

また、妊娠線(肉割れ)の予防には妊娠初期からの予防が大切になります。妊娠線予防クリーム選びに迷っている方は是非こちらの記事も参考にしてみてください。

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