C型肝炎検査(HCV抗体検査)とは?陽性時の妊娠や胎児への影響

カテゴリ:感染症

記事の種類:妊婦健診の検査項目

C型肝炎検査の意味

C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)が血液を介して感染します。
成人の場合、平均で50日の潜伏期間の後発症します。
発症すると発熱や倦怠感などの感冒症状が起き、その後に肝炎症状が起きます。

B型肝炎との違い

B型肝炎などの他の肝炎とは異なり、自覚症状は比較的軽く、成人の初感染であっても慢性化(キャリア化)しやすいという特徴があります。
一旦慢性化すると自然治癒することはなく、一般的にインターフェロンによる治療が必要となります。

検査方法

HCV抗体検査を実施し、もし陽性の場合は、現在感染しているかの確認のために更にHCV-RNA定量検査と肝機能検査を実施します。(過去の感染でもHCV抗体検査は陽性となるため)
HCV-RNAも陽性の場合、母子感染のリスクが高くなります。
逆にHCV-RNAが陰性の場合は母子感染のリスクはありません。(過去の感染であるため)

感染経路

感染経路は血液や精液となり、母子感染、注射器の使いまわし、輸血、性行為などとなります。
妊婦のHCV陽性率は0.3~0.8%です。
母子感染(垂直感染)の確立された予防方法はなく、HCV-RNA陽性妊婦の内、約4~7%で母子感染が起こります。
母乳授乳により感染することはありません。

治療法

新生児への母子感染予防として、出生3~4ヶ月から定期的に肝酵素、HCV-RNA定量検査を実施し、治療はせずに様子を見ます。
HCV-RNA陽性の児の約30%は3歳までに自然に陰性化します。
もし3歳でもHCV-RNAが陽性の場合、インターフェロン治療を実施します。
インターフェロン治療により更に約半数の児は陰性化します。
まとめると、HCV-RNA陽性妊婦の内約4~7%で母子感染が起き、その内の約30%が自然陰性化、インターフェロン治療により更に半数が陰性化するため、キャリア化する児は極めて稀と言えます。

陽性の場合にリスクのある疾患

HCV-RNA陽性妊婦では、母子感染による胎児へのC型肝炎感染の可能性があります。
なお、破水前の帝王切開による分娩により、経腟分娩や破水後の帝王切開よりも母子感染率を下げられるという報告がありますが、帝王切開による母子への影響の懸念があるため推奨されていません。

慢性C型肝炎(キャリア)では以下のリスクがあります。

  • 慢性活動性肝炎
  • 肝硬変
  • 肝癌

公開日時:2017年10月15日 15:22:39
最終更新日時:2022年02月28日 22:26:51

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